ペース・メソッドの広場

topページへペース・メソッドの広場三位一体(頭・指・心の三者を同時に使うこと)は導入から

2013/04/11

三位一体(頭・指・心の三者を同時に使うこと)は導入から

 

ジャパンディヴィジョンエリア・コーディネーター 神保洋子

  

 ペース・メソッドの魅力としてはまず、バランスのとれた指導法にあります。様々な角度をつくり年齢とレベルに合わせてより広く、より高度にらせん型に積み上げて行くやりかたです。一般的によく言われる良い先生ほど、従来の偏った詰め込み型で一見上手に弾けるようにしてしまう傾向があります。どちらかというと音楽をやるのに恵まれている子どもは先生にとっては音楽を楽しむなどと言うことを深く考えずに機械的に弾かせてしまうのが、最もてっとり早いということになってしまいます。それで親・子ともども満足してしまい音楽を深く掘り下げるようなことができなくなってしまい、せっかくいい素質を持った子どもをだめにしてしまう話はよくあります。でも音楽はそんなつまらないものではないのだということを先生も親もよく知っていなければなりません。音楽のからくりの面白さ、そして心に響いてくるものが感じられるようにピアノを弾くということは、心と頭も一緒に指を使うものだと言うことを導入から教えて行けば、指を動かすたけでなく、弾きながら自分の音楽もよく聴いて楽しめる子どもが育ちます。

 

 他の教材から編入してきた生徒さんでよく経験することですが、ピアノは指を使って弾きさえすればいいのであって『頭を使ったり心を使ったりするのも大切』ということを充分認識していない子どもがよくいるものです。音さえ間違えないで出ていればいいのであって、ましてや心を使って弾くものだとは考えたこともない子どもがいます。まず初見奏で頭を使った場合と充分使えていない場合とでは音楽にするスピードがどれほど違うか初めのレベルのうちから経験させるべきです。また最初から心をこめて弾く場合と弾かない場合とでは音楽に表情がつくかつかないか、どれほど違うのか導入からいつも経験させるようにこころがけるべきです。

 

 心のこもった音楽とそうでない音楽をどのようにして違いに気づかせるかということは難しいことでしょうか?たしかに先生のお手本を聴かせて考えさせるなどということは容易でもないし、また面白くもなんともありません。そこで同じようなレベル、同じ年ごろの友達どうしで聴き合うという考えが出てきます。少人数制あるいは二人組で聴き合うというようなことが興味あることになってきます。これをひとつとりあげてみてもグループ指導は有効です。

 それだけではありません。グループ指導はらせん学習を実現するためには重要な意味をもっています。個々の生徒の発想と生徒間の相互交流、すなわちプラスになる発想とみるや先生はそれを上手に発展させる方向に導きます。プラス指向の先端を進みたい、あるいはプラス指向の中心になりたいという子ども本来の傾向かららせん学習は上り坂になります。自分を表現したいという自然な素直な欲求から心を使った演奏が始まります。こうして他人の心も打てるように普段の練習から心も使って弾く習慣がつくようにすべきです。演奏能力とは音楽を理解し指を適確に動かして行くと同時に音楽においては表現ということがどれほど大切であるか、導入から知っている子どもを作るのがわれわれペース・メソッドの先生の役目です。

 

                               ≪ 『研究会ジャーナル』 No.39  2008年5月号より抜粋≫